SAMPLE C ―「一本のフィルム」として仕立てた例
2 0 2 5 ・ 夏

父と、最後に行った海

— 娘から、母への一本 —
ゆっくり、下へ
[ 写真:高速道路、助手席からの朝 ]
08:12SCENE 01

「海でも行くか」
言い出したのは、めずらしく父だった。

母は少し笑って、おにぎりを握った。
[ 写真:車内、父の横顔 ]
09:47SCENE 02

車の中は、昔ばなしばかり。
わたしの知らない、わたしの話。

助手席の母が、いちばん笑っていた。
[ 写真:防波堤、並んで座るふたりの背中 ]
13:05SCENE 03

泳ぐわけでもなく、三人で、
ずっと海を見ていた。

父はほとんど喋らなかった。それでよかった。
15:30SCENE 04

「また来ような」

帰り際、父はたしかにそう言った。
[ 写真:夕暮れの車窓 ]
17:58SCENE 05

帰りの車で、母は眠っていた。
夕焼けが、ずっと後ろからついてきた。

あれが最後の海になるなんて、誰も知らなかった。

お母さん。
あの日の海は、いまも
ちゃんと、ここにあります。

また、行こうね。

— 娘より —

このページは、同じ記憶を「一本のフィルム」として仕立てた架空の制作例です。
写真が主役の記憶、Memory Filmと組み合わせる贈り物に向いた形です。

あなたの記憶で、はじめてみる
MASS. MEMORY GIFT